カウンセラーが「構え」てしまうことにより生まれる弊害
本日は、カウンセラーの「構え」について考えていきたいと思います。「構え」とは、相手に身構えていてリラックスしていない状態です。
「構え」があるとどういう不便なことがあるのか、どうして「構え」を持ってしまうのかについて考えていきます。

最近、カウンセリングがうまくいかないことがありました。どうも、クライエントの口が重く、話が前に進んでいかないのです。結局、クライエントの抱えている問題などもよくわからないまま、キャリアカウンセリングが終了してしまいました。
私は終了後に、うまくいかなかったモヤモヤ感を感じました。多分それはクライエントも一緒でしょう。家に帰る途中の車の運転中にどうしてうまくいかなかったのか、その原因を考えてました。するとふと思い当たったのが、「構え」です。
カウンセリングの相談者は、大きく以下の2タイプに分けることができます。自発的にカウンセリングに来た人と、誰かからカウンセリングを受ける機会を提供された人です。
所属する会社や組織から言われてカウンセリングを受けに来るように言われた人など、誰かからカウンセリングを受ける機会を提供された人は、特にカウンセリングを受ける意志や目的が希薄です。そういった方たちがクライエントの場合に、「構え」を持って接するとますますカウンセリングの効力が低下します。
「構え」ることによって引き起こされる弊害
カウンセラーが「構え」ていると、クライエントも構えてしまいます。そうなると自由に話しづらくなります。
クライエントが自由に話しづらい状態だと、経験代謝の「経験の再現」を行うのが難しくなります。なかなか経験を語ってもらえないですし、その経験も表面的になります。つまり、経験の中に自己概念の影が出づらくなるのです。
そうなると、クライエントの人間性や自己概念が、カウンセラーにもクライエントにもよくわからない状態のままです。そして、結果として話が堂々巡りするのです。
どんなカウンセリングの技法でも、その第一段階は信頼関係の構築です。ラポールを形成するとかリレーションを作るとか言いますよね。結局、カウンセラーが「構え」ているとこれがうまくいきません。
つまり、「構え」ているとカウンセリングの序盤でつまづいてしまうということになります。
なぜ人は「構え」るのか
どうして、「構え」るのかの最も大きな理由は、役割に囚われているということであると思います。
キャリアコンサルタントという専門家の役割を果たそうと考えて、専門家的な態度を取ってしまう、あるいはクライエントとの適切な距離感を保とうとするということです。
もちろん、キャリアコンサルタントとしての倫理規定として、多重関係の禁止があります。必要以上に打ち解けることや距離が近くなることに抵抗を感じます。
そのため、専門家であることを前面に押し出し、適切な関係性を作ろうとしたりしますが、そうするとクライエントにとってキャリアコンサルタントが「構え」ているように感じられます。
このように、役割を盾にカウンセラーが自分にとって居心地の良い関係でいようとすることが、「構え」を作ってしまう大きな原因です。
他にも、その人の所属する国や組織の文化などの影響もあります。「自分はこうふるまうべきだ」とか「こうあらないといけない」みたいな考え方や思い込みによっても、「構え」は生じてしまいます。
「構え」やすい人とそうでもない人
あなたが普段接する周りの人を思い浮かべてみてください。自然体な人や肩の力が抜けているように感じる人や、あるいは気取っているように感じる人や一緒にいて窮屈な人などはいませんでしょうか。
私はもともと「構え」やすいタイプだと思います。人と適切な距離を取ってコミュニケーションを取るほうが居心地が良いと感じていました。
そういったパーソナリティーの部分も、「構え」を作りやすい要因です。
私と同じように「構え」を作りやすいかもなって思う方は、ちょっと意識してリラックスするように頑張って、「構え」を作らないようにしないといけないかもしれませんね。
ちなみに、カウンセリングの大家の国分康孝先生は、以下のように著作で言っています。
カウンセラーが四角四面なパーソナリティーでは来談者もリラックスできない。カウンセラーは酒を飲んでいないときでも、酒に酔ったときのような心境でなければならぬ。すなわち、天真爛漫、天衣無縫でなければならぬ。防御がなければないほど好ましい。
(国分康孝著 カウンセリングの技法 12pより抜粋)
さすがに、酒に酔ったときのような心境というのは言い過ぎのような気もしますが、これぐらいの気持ちで行けということです。これは非常に大切な心構えだと私は思います。
これを読んでいる皆様も、ついつい「構え」てしまっていることがあると思います。そんな時は、意識的に、酒に酔ったぐらいの気持ちでリラックスして、クライエントと向きあってみてはいかがでしょうか。
<参考文献>